
本ブログでは、最新の税制改正の内容をもとに、富裕層の資産戦略にどのような影響があるのかを、不動産と金融の両面から実務的に解説します。制度の理解にとどまらず、「何をすべきか」という意思決定に役立つ情報をお届けします。
第一回の本稿では、「ミニマムタックス税制」について解説していきます。
ミニマムタックス税制とは、一言でいうと「どれだけ税率を抑えても、一定以上の所得がある場合は最低限の税負担は求められる」仕組みです。
この制度は近年導入されたもので、すでに一部の高所得者に適用されていますが、今後は対象範囲と水準が見直される予定です。
(ポイント)
・一定以上の所得がある人が対象(詳細後段)
・実際の税負担が基準より低い場合、その差額が追加で課税される(総合課税と分離課税のギャップ)
今後の見直しでは、イメージとして以下のラインが一つの目安になります。つまり、さまざまな手法によって税率を抑えていたとしても、最終的な負担は30%前後に近づく設計になっています。
・年間所得:約1.65億円超
・最低税負担:約30%
例えば、年間所得が2億円のケースを考えてみます。
・基準となるライン(約1.65億円)を超えた部分に着目
・その部分に対して、最低30%の負担が求められる
仮に、株や不動産の売却益が中心で、実際の税率が20%程度に抑えられていた場合、不足分(約10%分)が追加で課税されるイメージです。
「個別の税率はそのままでも、最終的な税負担が引き上げられる」点が重要です。
では、不動産売却があったケースで見てみます。
・年間所得:2億円
・不動産売却益:1.5億円(長期譲渡)
・その他所得:5,000万円
・不動産は約20%の税率
・全体の実効税率:約25%前後
・「分離課税なので比較的低い税負担」
これまで、株をはじめとした金融商品や不動産所得(長期譲渡)といった、分離課税対象の所得がメインであった納税者は、これまでの約20%の所得税率が、最低30%の負担ラインへと変更されます。結果、数百万円単位~で税負担が増える可能性があります。
税率そのものは変わらなくても、 最終的な税負担は確実に上がる方向にあります。